Anotherday for "haru"

 

「悪いっすね。ハルさんの彼女にまでハガキ整理やらせて。今日、知真ちゃんたちは、どうしたんですか?」
ADの安藤が、言った。
「アキくんと知真ちゃんは、デート。タマちゃんは、仕事よ。」
ハルの彼女の俊美は、答えた。

ハルは、俊美をラジオ局に呼びたがらない。照れくさいのだろう。
ラジオの後のデートも近くの喫茶店で待ち合わせする。
ラジオ局に彼女を呼んで、公私混同したくないのだろう。
今日も、アキたちは、自分たちが行かなければ、自然とハルは俊美をラジオ局に呼ぶだろうと思って、理由をつけて来なかったのだ。

俊美は、事務所を出てスタジオに行った。

JOPG FM〜
「12時になりました。ハルのIn No.40 (イン・ナンバーフォーティ)の時間です。
これから、2時間は 僕、ハルと一緒の時間を過ごしてください。」

「いつもの電話相談のコーナー。レギュラーになってしまった、告白少年からです。」
「うううう(泣)」
「どうしたの?」
「ナオちゃんがぁ、、、、ハルさんのことを好きになったてぇ〜〜〜」
「えっ!・・・」
「ハルさんの裏切り者!」
プッ・・・・。
「また、すごい展開になってしまいました・・・。告白少年、がんばれ!では、次の相談は・・・」
「私、ストーカーされてて・・・困ってるんです。」
「警察に言いましたか?」
「はい、でも・・・相手が、危害を加える訳じゃないからって・・・あまり大騒ぎして主人に知られたくないし・・・」
「そうですか・・・知り合いの刑事さんによく言っておきますので・・・」
「ありがとうございます。聞いて頂けただけで気持ちが楽になりました。」

ガラスの外から俊美が、見ていることにハルが気付いて、
照れながらアッチ行けのジェスチャーをした。
俊美は、照れているハルをかわいいと思った。
あれが、DJハルじゃなくて素のハルなのだ。
みんなが、知らない本当は、すごく照れ屋のハルなのだ。
曲になって、ハルが、俊美のところに来た。
「あっちでハガキ整理しててくれよ。それが終わらないと、残業になってデートの時間がなくなるぞ。」
ハルが、無愛想に言った。
俊美は、職場に彼女を連れてきて、デート気分で仕事ができないハルの性格を知ってるから
「わかったわよ。」
と、言って事務室に戻って行った。
「すみませんね。ハルさん、もっと優しく言えばいいのに・・」
安藤くんが、俊美を気遣い言った。
「いいわよ。ハルのことよくわかってるから。でも今日は、ラッキーだったわ。ハルの仕事してる姿見れて・・・」
もっと好きになったって続けようとして、俊美は安藤くんに話してるんだと気付いて止めた。



翌日、ハルは、警察に行った。
「宇津井さんの件ですね。あれには我々も困っているんですよ。」
顔なじみの刑事が、言った。
「何とかならないんですか?」
ハルが、言った。
「ずっと、見ているだけで何も手出しをしないのですから・・・。奥さんも旦那さんに知られたくないって言ってるし、あまり行動できんのですよ。注意は、しているのですが・・・これからも気をつけていますんで・・・」
刑事が、困った顔をして言った。
「そうですか・・・」



数日後


「ハルさん、宇津井さんの夫が、殺されました。」
刑事から、電話があった。
「えっ?」
ハルは、何のことだかわからなかった。
「ほら、ストーカーの被害にあってる女性の夫ですよ。」
刑事が、言った。
「あ〜あ。ラジオの。じゃあ、ストーカーしてた男がやったんですか?」
ハルが、言った。
「私たちもそう思ったんですが・・・ストーカーの男、渡部っていうんですが。やつにはアリバイがあるんですよ。宇津井さんは、会社の社長で、6時5分に秘書が帰った後、殺されたんです。発見したのは、出前を持っていったラーメン屋でアルバイトしている山田っていう学生。時間は、6時15分。だから、犯行時刻は、6時5分から15分までの10分間なんですが、その時刻、奥さんから、ストーカー渡部が家に侵入しようとしているからって警察に電話があったんですよ。家と会社は、車で20分以上かかりますから、無理なんですよ。」
刑事が、言った。



「ほんと、力になれなくて・・・。」
ハルが、言った。
「いいえ。私こそ ご面倒をおかけして・・・。ハルさんが、来てくださるなんて・・・」
宇津井の妻は、恐縮しながら言った。
「お姉さん、詩織ちゃんが、探してましたよ。あれっ、ハル、何でいるんじゃ?」
タマが、部屋に入ってきて言った。
「お前こそ、何でいるんじゃ?」
ハルが、聞いた。
「こないだ、合コンで知り合った子に頼まれて・・・あっ、俊美ちゃんもいるよ。」
タマが、言った。
「タマちゃん、こっち手伝って、あれっ、ハルくん?」
俊美も部屋に来て言った。


「詩織のお姉さん、ストーカーされてたんだ。知らなかった・・・」
俊美が、言った。
「お姉さん、美人じゃもんなぁ。」
タマが、言った。
「詩織に言いつけるわよ。」
俊美が、言った。
「俊美ちゃん、それだけは・・・」
タマが、許してくださいのポーズをしながら言った。
「じゃけー、何かが引っかかるんじゃ・・・」
ハルが、言った。



アキが、広島の新聞社にいた。
「何か、進展ありました?」
アキが、聞いた。
「アルバイトの山田っていう学生が、被害者の会社に就職が内定していたのに取り消されたらしいんじゃ。」
新聞社の人が、言った。
「じゃけー、それで人は殺さないじゃろう?」
アキが、言った。
「でも、いつも出前を嫌々行ってる山田が、あの日に限って、自分からすすんで行ったって。」
新聞社の人が、言った。
「ちょっと、あやしいね。」
アキも同意した。
「警察に事情聴取を受けてるから、また、詳しい情報入ったら知らせるけー。」
新聞社の人が、言った。



ハルと知真は、被害者の会社に居た。
真面目そうな、度の強い眼鏡をかけた女性秘書が、迷惑そうに言った。
「何か用ですか?」
「いえ、あの日最後に帰られたのは、あなたですよね?」
ハルが、聞いた。
「それが、何か?」
秘書が、言った。
「何か、見なかったかな、と思いまして、帰る時、誰かとすれ違いませんでした。」
ハルが、聞いた。
「いいえ。別に。」
秘書が、言った。
「その日に社長に変わった、ところは?」
ハルが、聞いた。
「別に。」
秘書は、取り付くしまもなかった。



「タマちゃん、俊美、お義兄さんのお葬式、手伝ってくれてありがとう。」
詩織が、言った。
「タマちゃんが、お姉さん美人だって・・・」
俊美が、タマをからかって言った。
「俊美ちゃんっ!」
タマが、俊美を軽く叩きながら言った。
「お姉ちゃん、きれいなんだから宇津井さんなんかと結婚しなくても・・・」
詩織が、言った。
「詩織?」
俊美が、言った。
「私、お義兄さんが嫌いだったのよ・・・お姉ちゃん、山田くんと一緒になればよかったのに・・・」
詩織が、言った。
「山田くん?」
タマが、言った。
「お姉ちゃんが、結婚する前に付き合ってた人。同じ会社で働いてたんだけど、事故で亡くなったの・・・お姉ちゃん会社にいると山田くんのこと思い出すって辞めて、違う会社に勤めたの。その会社の取引先の社長が、宇津井さんなの。」
詩織が、言った。



「アキ、わかったぞ。」
新聞社から電話があった。
「山田っていうアルバイト学生の兄が、被害者の妻と結婚前につきおうていたらしいんじゃ。山田の兄は、崖から車ごと海に落ちて事故死したんじゃが、その後に奥さん宇津井と知りおうて結婚したらしいんじゃ。」
新聞社の人が、言った。



「ハルさん、例の件ですか?」
顔なじみの刑事が、言った。
「アキに聞いたら、山田ってのがあやしいって。」
ハルが、言った。
「山田は、やってないって言ってるんです。これからやろうとしてたって。何でも、アルバイトしながら被害者の様子を伺ってて、被害者の会社に就職が決まってこれからって時に兄のことバレて内定取り消しになったって。で、頭きたんであの日、出前のついでにやろうと思ってたら、他のやつに殺されたって・・・」
刑事が、言った。
「彼、すごく、悔しがってませんか?」
ハルが、聞いた。
「何で判るんですか?そうです。オレがやってやりたかったって言ってます。」
刑事が、言った。



ハルと俊美と詩織が、詩織の姉の家に行った。
「お姉さん、大丈夫?」
俊美が、詩織の姉に聞いた。
「ありがとう。」
詩織の姉は、疲れたように言った。
「ハルさん、事件、どうなの?」
詩織が、聞いた。
「私、疑われてませんか?主人と離婚の話してたから・・・」
詩織の姉が、言った。
「えっ?そうなんですか?」
ハルが、びっくりして言った。
「ええ、主人、浮気していて・・・」
詩織の姉が、言った。
「えっ?浮気されてたんですか?」
ハルが、言った。



ハルは、被害者の会社に行った。
秘書が、残務処理していた。
「あなただったんですね。」
ハルが、聞いた。
秘書は、書類の塊の中に顔を埋め号泣した。



「ハル、サンキュー!」
俊美は、ハルにキスをした。
「最高のご褒美じゃ!」
ハルは、照れながら言った。

 

presented by "クリスチーナ"

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