vintage



もうすぐ日付けが変わる
日付けが変わったら...昭仁の30歳のバースデー
本当は明日の夜にゆっくり2人でお祝いしたい所なんだけど
明日はスタッフの人達がパーティーを開いてくれるみたいだから
ちょっと早いけど今日2人だけでのパーティーをしよう、ってね
記念すべき30のバースデーに
お祝いのシャンパンとあとひとつ...

あっ、昭仁が来たみたい

「ゆかちゃん、お待たせ。間に合ったかのぅ?」
「ええ。まだ日付けは変わってないわ。さっ、早く上がって」

ソファに昭仁を座らせてから
今日の2人だけのパーティーの準備をする
...って言っても用意してあったおつまみと冷やしてあったシャンパン
そして忘れてはいけないのがバースデーケーキ
もう1つは後のお楽しみに...

「ぎりぎりカウントダウンに間に合ったのぅ」
「ふふっ、カウントダウンって」
「え〜じゃん。カウントダウンってワクワクせん?やろーやぁ」
「え〜っ...いいけど...じゃあ、キャンドルに火をつけてね。灯りを消すから」
「おうっ。わかった」

昭仁がケーキのキャンドルに火をつけるのに夢中になっているのを尻目に
部屋の灯りを消してから昭仁の所に戻る

「ゆかちゃん、はよはよっ!カウントダウンするで」
「はーい、お待たせ...時報案内に電話するね」

・・・11時59分30秒をお知らせします・・・

「うおっ!危なっ!間に合わん所じゃった」
「よかった。間にあったわね」
「よしっ!..10..9......3、2、1、0!」
「昭仁お誕生日おめでとう!今日から30歳ね」
「う〜ん...実感はぜっんぜんないんじゃけどね。」
「ふふっ...あっ、灯りをつけてくるね」

灯りをつけて戻って来ると
ちょうど昭仁がシャンパンの栓と格闘している所

「うっ...か、固いのぅ...よっ!」

ポンッ

「きゃっ!」
「ゆかちゃん、はよグラスをくれい!」
「は、はいっ」
「かんぱ〜い!」

チン

グラスを2人で空けてから
昭仁へのプレゼントを取りにキッチンへ

「ゆかちゃん、なに持ってきたん?」
「ふふふ...こ・れ・は・昭仁へのプレゼント。探すの大変だったんだ〜」

そう言いながら昭仁の方に差し出されたのは
昭仁の生まれた年に作られた赤ワイン

「えっ!じゃあ、これって30年ものなん?」
「そうだよー。昭仁と同じ30歳のワイン」
「ほぉ〜ほんじゃあ、これはヴィンテージ物って奴?」
「まさかぁ〜
...でも昭仁と同じ年のワインだったら私にとってはヴィンテ−ジ物だよ
ねえ、こっちのワインも開けようか?」

昭仁はワインをしばらく見てから私に瓶を返した

「いや、こっちは止めとこ。」
「え?どうして?気にいらなかった?」
「そうじゃなくて...
このワインは今日の記念に置いとこうと思っての
..わしらもこのワインに負けないようなヴィンテージ級の関係になれるように、って」
「うん。そうだね...」
「じゃあ!このシャンパンでもう一回乾杯じゃ!これからの2人に乾杯!」


 

 

 



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