「color of light」

 

最近2人共仕事が忙しくてなかなか会えなかった
今日も晴一くんの部屋に来たけんだけど
晴一くんは詞の締め切りが近いから、とさっきから作業部屋にこもりっきり
でも、どうも晴一くんは煮詰まっているみたい

今日は朝からいい天気
スゴロクも外に遊びに行きたいみたい
さっきからずっと窓の側に座り込んでいるんだもん
そうだよね、せっかくのいい天気だもんね...そうだ!

ドンドン

「なんね?わし、仕事中なんじゃけど」

不機嫌そうな顔で顔を出した晴一くん

「ねぇ?晴一くん。ずっと部屋に閉じこもってないで、スゴロクと散歩に行こうよ」
「だから、仕事...」
「詞を書くのに煮詰まってるんでしょ?そんな時には気分転換に外に出かける方がいいよ〜!行こうよ〜!」

最初は出かけるのを渋っていたけど
私とスゴロクがせがんでいるうちに最後には根負けしたようで

「ああ〜もう、わかった!ちょっとだけだからな!」
「やったぁ!スゴロク〜散歩に行くよっ...と晴一くん、ちょっと待って」

大急ぎでスゴロクに付けるリードを引っぱりだしてスゴロクに付けて
ニット帽を探して晴一くんにかぶせる

「うわっ!何するん」
「だって、帽子位かぶってないと私と一緒にいる所をファンの人に見つかったら大変でしょ?それに...」
「それに?」
「そんなに髪の毛切っちゃったら帽子かぶってないと風邪ひくよ!」

ブツブツ言いつつ散歩に出かけた晴一くんと私とスゴロク
スゴロクは御主人さまと出かけるのがよっぽどうれしいのか
さっきから前を少し歩いては振り返って晴一の様子を見てる

今日の2人と1匹の目的地の公園がもう少しって所まで来た時
それまで、結構いい天気だったのがみるみるうちに曇ってきて
公園に2人が足を踏み入れた途端に雨が降り出した

「きゃっ、雨宿りしなくっちゃ」
「こらっ!スゴロクそっちに行くんじゃない!」
「晴一くん、こっちこっち」
「うわっ。スゴロク〜ブルブルするなや〜」

雨宿りに駆け込んだ四阿でひとしきり大騒ぎした後
タオルを取り出して濡れた服と髪を拭い
並んでベンチに座って雨が止むのを待った

「はぁぁ〜参ったのぅ〜」
「さっきまで、いい天気だったのにね」
「まあ、通り雨みたいじゃけぇ...ほら、小降りになってきた」

晴一くんの言うとおり
急に降り出した雨はあっという間に小降りになり
そしてやんでしまった

「ホント通り雨だったね..あっ」
「なん?」
「虹が...」

雨上がりの空に鮮やかな7色の虹がかかっていた

「きれい...」
「考えてみれば不思議よの?」
「?何が?」
「だってさぁ、普段は無色の光が雨上がりにはこ〜んなきれいな虹を見せてくれるんよ?不思議じゃと思わん?」
「そうね..そうかもね」
「さぁっ!雨も止んだし、いいもんも見せてもらったし。もう少し歩いてから帰ろうかぁ」
「うん」
「...楓」
「何?」
「......サンキュ」

照れくさそうに言うと晴一くんはスゴロクと一緒に外に駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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