「precious」

 

あの2人が東京に帰ってきた途端
この街にも寒波がやってきた

晴一と一緒にクリスマスを過ごすのは...もしかして初めて?
「大阪まで来ればいいじゃん」
なんて、軽く言ってくれるけど
私だって仕事があるんだもの
特にこの時期は一番忙しい時期に入ってしまうから
とても「休ませてください」なんて言えなくて
毎年ひとりぼっちのクリスマスを過ごして来た
ライブの後に時間を見つけて電話やメールはしてくれたけど
隣に晴一がいない寂しさは完全には消えなかった
周りはみんな1年で一番幸せな時間を過ごしているのに
どうして私だけ寂しい思いをしないといけないの?って

だから...クリスマスは嫌いだった...

今年は一緒に過ごせるのがわかった時
はしゃぎ過ぎて晴一にからかわれたっけ
でも、晴一もニコニコしてうれしそうにしていたの知ってるのよ

24日は友達の初ライブの後
私の部屋で過ごす予定なの
ライブの打ち上げにも顔を出すだろうから
きっと日付けの変わる頃になるかしら?
もしかしたら、雪もちらついているかも?

あなたがやってくるまでに
2人でお祝をする準備をしておきましょう
シャンパンを冷やして
多分打ち上げで祝杯をあげてくるだろうから
軽くカナッペを用意して...
忘れちゃいけないのはクリスマスケーキvv
がんばって作ったんだからこれだけは食べてもらわないとね

準備も終わって日付けが変わる少し前
ちょっと酔った足取りで晴一はやってきた

「やよい〜遅くなってごめん〜!でも、わしイブには間に合ったじゃろ?」

ニコニコしながら後ろ手に何かを隠して部屋に入って来た晴一
きっと素敵なプレゼントを用意して
包みを開いた瞬間の私の驚く顔を想像しているんでしょうね

でもね
晴一は気付いてないかも知れないけど
もう私は一番素敵なプレゼントをあなたから貰っているのよ

私にとっての一番のプレゼント...

それはクリスマスを晴一と一緒に過ごしている時間
このひとときが一番のプレゼントよ...

 

 

 

 

 

 



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