「honey&lemon」

 

今年の気候ってなんか変よね?
なかなか暖かくならないと思ってたら
急に暑くなったり寒くなったり
ちょっと気を抜いたらすぐに体調を崩しちゃう

...そう言えば
昭仁もこないだ会った時に鼻をグズグズ言わせてたっけ
今日も来るはずだけど大丈夫なのかな?

その時タイミングを測ったように昭仁から電話がかかってきた

「...もしもし..麻美?」
「昭仁?どうしたの、その声?」
「ちょっと油断したら風邪ひいてもうたみたいで...」
「え?!確か今って忙しいんじゃなかったっけ?大丈夫なの?」
「ん...今日で仕事もキリが付いたけぇ明日は休みなんじゃけど...」
「!まさか、昭仁...今からうちに来るって言うんじゃないでしょうね?」
「え?あかんの?薬飲んだけぇ大丈夫じゃろ?」
「ダメよ!私がそっちに行くから大人しく寝てて!」
「ええんか?こんな時間に?迎えにいk..」
「だから!風邪をひいているんだから寝てて!」
「...わかった。気を付けて来るんやぞ」

電話を切ってから急いで用意をする
そう言えば前にネットで仲良くなった人に風邪の引き始めに効くドリンクって教えてもらったような...
どうやって作ったんだっけ...
確かこないだ貰ったメールに書いてたっけ...これかな?

目的のレシピをプリントアウトして
材料をかき集めて家を飛び出した
運良く通りかかったタクシーに飛び乗って昭仁の家の近所まで行くと
周りを注意しながら昭仁の部屋に
昭仁は「だ〜いじょ〜ぶじゃって」って言ってるけど
やっぱり念には念を入れて..ね

部屋の中に入ると
咳き込みながら私の言った通りにベッドに横になっている昭仁

「すまんのぅ、こんな時間に来てもろうて」
「ううん、気にしないで...私の方こそごめんね」
「なにが?」
「電話できつく言い過ぎちゃったし、それに...無理矢理来ちゃったみたいな気がして...」
「ああ、そんな事?わし、別に気にしとらんよ」
「ホントに?」
「それより...わし、腹へったんじゃけど何か作ってもらえると...ゴホゴホッ」
「大丈夫?じゃあ、すぐに作るから待っててね」

台所に入って冷蔵庫の中身をチェックしてみて
病人でも食べられそうな物を探して
結局ご飯もなかったので、パスタを野菜と一緒にコンソメで煮込んでみた
うん..多分大丈夫じゃないかな...?
確かあの人からイタリアの人が風邪を引いた時にこんなの食べてるって聞いたし
それよりドリンクも用意しておかないと
ちょっと時間かかるみたいだもんね

「...どう?」
「うん、悪くない...てっきりうどんかお粥でも出されると思っとったからちょっとびっくりしたけど」
「だって、うどんもお米もなかったんだもの。すっごく考えたんだからね」
「えっ?そうじゃった?ごめん...」
「ううん、気にしないで。また時間のある時にでも買いに行けばいいんだし...それより」

昭仁にほんのりスパイシーな香りのする飲み物を差し出す

「これ飲んでみてくれる?」
「んんっ?!なんか変わったにおいがするのぅ..これ何なん?」
「スパイス入りのはちみつレモンなの。ネットで知り合った薬剤師さんに教えてもらったんだ。ひき初めの風邪にすっごくよく効くんだって」
「ふぅん...」

少しうさん臭そうにクンクンと匂いをかいでいたが
麻美の物問いたげな視線に気付いて恐る恐る飲み物に口をつける

「...どう...?」
「お、思ったよりうまい..よ。うん、効きそうな気がする」
「よかった〜今度会うからお礼言っとくね」
「今度会うんじゃ?よぅ会うんか?」
「ううん、直に会うのは初めてなんだけど。色々と話が合うんで一度一緒にお茶でもしませんかって」
「ホンマに女の子なんか?実は騙されとるとか...」
「そんな事ないわよ!ちゃんとhaloさんの写真も送ってもらってるもの」
「ふぅん、そうなん...haloさんって名前なんじゃ」
「そうなの〜haloさんの彼氏も音楽関係の仕事してるらしいんだ〜昭仁も知っている人だったりしてね」
「はは...まさか、そんな偶然ある訳なかろ?」
「ふふ、そうよね..」

 

その頃とあるマンションで...

 

「くしゅん!」
「...これで3回目じゃん。風邪でもひいた?」
「ん〜そんな事ないんだけど..どうしてかしら?」
「この季節に風邪ひいたら厄介じゃけ、早めに薬飲んどけよ」
「薬を飲む程じゃあないんだけど..そうだ!」
「?」
「はちみつレモン作ろ☆晴一の家って普通置いてないスパイスもあるからこんな時助かるのよね」
「はちみつレモンにスパイス?」
「ええ、風邪のひき始めに効くのよ〜晴一も飲んでみる?」
「ん〜どうしようかのぅ...」
「....飲むわよ、ね?」
「...はい」

 

しばし後

 

「結構いけるでしょ?」
「う〜ん...まあまあかのぅ」
「まあまあ、かぁ。ま、いいわ..そう言えばね。ネットを通じて知り合った子の彼氏が喉を良く使う仕事らしくて〜『喉の調子が悪い時にいいわよ』ってこのドリンク教えてあげたんだ〜」
「知り合った子って...女の子なん?」
「そうよ。近いうちに会いましょうって言ってるけど。晴一の事は間違っても言わないから安心して」

 

 

各々の部屋で図らずも同じドリンクを啜っている2人
まさかお互いの彼女が会う事になろうとはこの時には知る由もなく..
今は甘くて酸っぱいドリンクを啜りながら彼女と一緒にいる幸せを味わっているのでした

 

 

 

 



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