「apple&cinnamon」

 

「ごめん、待った?」
「ううん、私も今来た所よ」

 

世間では正月休みも終わり
殆どの人は仕事で出かけている頃
ランチタイムには少しだけ早い時間

今日は昭仁と久しぶりのデート
平日のこんな時間なら一緒に歩いていても目立たないからうれしい

「いつもより早めに起きたんじゃないの?朝ご飯食べてきた?」
「う..じつは寝坊してもうてまだ食べてないんよ」
「あ、やっぱり...」
「ちょっと早いけどメシ食いにいってもいいかな?」
「いいわよ。でもこの時間からランチをしているお店って...」
「う〜ん...やっぱり早すぎるかのぅ」
「ちょっと待って..確かこの近くにいいお店があるって...」

そう、確か...
あの人に教えてもらった店が近所にあったと思うんだけど...
.....
......あった!

「ねぇ、昭仁。あそこのカフェだったら早めにランチタイムが始まっているはずなんだけど...」
「ん..そこでええよ。」
「じゃあここにしましょ」

そこは大通りから1本外れた筋にある隠れ家的なカフェで
開いたばかりなのと、平日であるのとで
まだそれ程混んでいなかった
このカフェは去年仲良くなった友達から教えて貰った店で
各々の席が仕切られていてちょっとした個室っぽい作りになっている


「この店って他の席を気にしなくてゆっくりできるの。いつでもフードメニューを頼めるし。便利よ〜」
「ふぅん..よくこんな店みつけたのぅ」
「教えて貰ったのよ。あの...haloさんに」
「あっ、わしらのファンの人だったっけ?」
「そうなの。ファンサイトで知り合いになった人なんだけどね」
「そういや、去年の今頃その人のおかげでわし助かったんじゃったっけ?」
「そうよ〜!haloさん特製ドリンクのおかげで風邪もすぐに治ったんじゃない」
「そのhaloさん、よくこんな店知ってたのぅ」

 

そんな事を喋りながら店に入って来た2人
その2人に目を止めたのは...

 

「...あら?」
「どしたん?」
「今入って来た人...こないだも話していた友達なの」
「ああ、あの..ふ〜わさんとか言ったっけ?」
「そうそう...あら?一緒にいるの彼氏さんかしら?」
「へぇ〜彼氏連れなんじゃ」

そういいながら彼女の見ていた方をなにげなく見ると..

 

「げっ!?」
「??どうかした?」
「いや、なんでもないっ」

(ど、どうしてここに昭仁が来るん?!)

そう、彼...晴一の目に飛び込んで来たのは
彼女らしき女の子と喋りながら店に入って来た昭仁だった

「それにしても...」

動揺しまくっている晴一に気付いていないのか
空は昭仁と一緒にいる女の子の2人をみながら言葉を続けた

「ふ〜わさんの彼氏...昭仁くんに似てない?」
「えっ?!ど、どこが?!」
「だって黒髪みたいだし、顔つきもよく見たら...」
「そ、そんな事なかろ!昭仁はも〜うちとはオーラあるで?」
「そ、それもそうね...晴一が言うんだからそうなんでしょうね。でも..」
「ほれ、他人の彼氏をそんなにジロジロ見たら失礼じゃろ?デザートもきたんじゃから早よ食べて」
「それもそうね...」

なんとか空の注意を昭仁と彼女らしき女の子からそらし
ほっと一息つく晴一

...と、我に帰ってふと思う

 

なんで、わし必死になってるん?
別に空にばれて困る事でもないんじゃ?
でものぅ〜もう昭仁じゃないって言うてしもうたし
今さら言いにくいのぅ…
う〜ん、どうしたものか…

なんて思いつつ昭仁の方に目をやると
こっちの様子に全く気付いていない昭仁が彼女らしき女の子と顔を寄せあってメニューを見ている所だった

(まったく...呑気なもんじゃの)

 

彼女と喋っていた昭仁は
妙な気配を感じて何気なく振り返った
するとそこには見覚えのある顔が...

 

「あっ?!」
「昭仁?どうかした?」
「い、いや、何でもないよ?」
「…そう?」

 

あれって、晴一じゃの?
...と、一緒にいるの彼女かのぅ??
偶然って怖いのぅ...
声掛けたら...

 

きっといぢられるな...

 

そっとしとこ...

 

 

「...昭仁?」
「ん?」
「今度はぼーっとしちゃって。ホントに何でもないの?」
「ああ..何でもないって。それより...」

 

既に晴一にその存在がバレているのは知るよしもなく
もちろん、次に顔を合わせた時に彼女の事でおちょくられる運命も知る由もなく
彼女とのデートを楽しむ昭仁なのでありました

 

「おっ、このデザートうまそうじゃのぅ」
「そうでしょ?ここのアップルパイってシナモンの風味が効いていておいしいってhaloさんが..」

 

 

 

 

 

 

 



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