Holy Nightは終わらない

 

...困ったのう...
よりによってこんな日に歌取りになるとは...
早く終わったらいいんじゃけど...無理か?
本間さん、頼んますっ!今日だけは早めに済ませて下さい...

アキヒトくん、何か焦っていますね
そう、今日はクリスマスイブ
いつもなら「アンチクリスマス」と言っているのですが
なんだか今年は様子が違うようです
なぜなら...

アキヒト本当に来れるのかな?
確か今日もレコーディングって言っていたんだけど...
「だ〜いじょうぶ!なんとかするから!」
なんて言ってたけど...

あらあら
アキヒトくんはどうやら彼女と約束をしているみたいです
確か、まだみんなには内緒にしていたはずなのですが...
ホントに早く帰れるのでしょうか?

「...のう、タマ」
「なに?新藤」
「な〜んかアキヒト今日は様子がおかしくないか?」
「言われてみれば...な〜んかそわそわしとうのぅ」
「...怪しいのぅ」

新藤君とタマちゃんに思いっきり怪しまれながら
必死に唄入れをするアキヒトくん
でもその必死さが空回りして、なかなかオッケーが貰えません
アキヒトくん、ピンチです

...ゆか、待っててくれてるかのぅ
いや!ゆかの部屋に行くことにしてるから待ってくれてはいるはずじゃけん
あ〜でも怒って寝てしもうとるかもしれんのぅ...
あああ〜〜〜気合入れてプレゼントも用意したのに〜〜〜
マジ頼んます!本間さん...

アキヒトくんの心の叫びも空しく
レコーディングは長引いています
このままではイブの夜が終わってしまいます
きっと心の中では半べそをかいているに違いありません
さて、その頃ゆかさんは...

アキヒト今日は無理だったのかなぁ
クリスマスイブは2人でお祝しようね、って言ってたから
一生懸命料理も作ったし
ケーキも手作りしたんだけど...
もしかして、とは思っていたけど
やっぱり来てくれない、ってなると寂しいなぁ...

ゆかさんの瞳からは涙が溢れそうです
アキヒトくん、早くいってあげなきゃ...
と、スタジオでの唄入れもようやく終わったようです

「お疲れさんでしたっ!お先っ!」
「ちょ、ちょっとアキヒト?!」

皆が呆然とする中
すごい勢いでスタジオを後にするアキヒトくん
と、さっきまでアキヒトくんの荷物の置いてあった場所に小さな包みが残っています

「これは...」

 

「まだ...まだイブには間にあうぞっ!」

アクセル全開で君に会いに行くよ
ハンドル握る手に力がみなぎるぜ

『キミへのドライブ』並みに車を飛ばして
なんとか日付けの変わる10分前にゆかさんの家に到着したアキヒトくん
猛ダッシュでゆかさんの部屋へ
ドアを開けるとそこには料理の前で涙を目に一杯に浮かべたゆかさんが

「ゆか。ま、待った...よな。ゴメン!」
「ううん。アキヒトが来てくれただけで、うれしいよ」
「そうそう!わし...」

ごそごそ持って来た荷物の中を探すアキヒトくん

「あ、あれ?」

とパニックを起こしかけた丁度その時
アキヒトくんの携帯に電話が...

「あ〜岡野くん」
「新藤?こんな時間になんね?」
「実はだね、君の荷物のあった場所にど〜見てもクリスマスプレゼントにしか見えん小箱が落ちていたのだが心当りはあるかね?」
「あ”....!」
「まあ、今日は忙しいだろうから明日以降にじ〜〜〜っくりと話は聞かせて貰うんでよろしく☆」
「う....」

満面の笑みを浮かべながら電話をかけて来たであろう
新藤君の顔を思い浮かべながら軽い目眩を起こしているアキヒトくんを見て
心配するゆかさん
同時に何かを決意した表情のアキヒトくん

「アキヒト...大丈夫?」
「う、うん。大丈夫だから...」
「ところでさっき何を言いかけてたの?アキヒ...」

驚く彼女を強く抱きしめるアキヒトくん
そして...

 

 

 

 

イブの夜には
君に今年最高の口づけをしよう...

 

main index



アクセス解析 SEO/SEO対策