あたたかな手


やっとポルノのツアーが終わり
つかの間の休息がやって来た
アキヒトも久しぶりのまとまった休みが取れたので
この間約束した通りに2人で因島に行くことになった
初めての2人での旅行にドキドキしながらも
荷造りをしていた昼下がり。。。


lululu...


「あ、のゆちゃん。今忙しい?」
「え?旅行の準備をしていたんだけど...なぁに?」
「あのさぁ、見せたい物があるんだけど.. .
もう少ししたら迎えに行くから用意しててくれるかのぅ?」
「え?...うん、わかった」


どうしたんだろ?アキヒト
もうすぐ因島に行くからアキヒトも準備があると思うんだけど...


しばらくしてアキヒトが迎えに来た
一体どこにいくんだろう??
と疑問符だらけの表情でアキヒトを見てみるけど
「まあまあ、いいから♪」
とアキヒトはにこにこしているだけ
そして急かされるようにアキヒトの愛車に乗り込んで
行先のわからないドライブに出発

ドライブのBGMはポルノの曲...ではなくてBBキングの曲
自分の曲はやっぱり気恥ずかしいのかな?
あまり洋楽はわからないけどこの曲は知ってる!
確か「Stand by me」だったかな?

目的も行き先もわからないドライブ
だんだんワクワクしてきちゃったりして
どこに行くとしてもアキヒトと一緒だったら怖くないもの

車は郊外から田舎っぽい風景に変わって行き...

「さぁ、着いた。のゆちゃん、降りて」
「え?ここで?なんにもないみたいだけど...」
「ここからは歩くんじゃけど..のゆちゃん、ちょっと目を瞑っててくれるかの?」
「え?目を?でも歩くんでしょ?」
「わしが手をひいて行くから大丈夫って」

アキヒトの手って大きくてゴツゴツしていて
...あたたかい
目を閉じて歩く心細さと久しぶりのアキヒトの手の温もりに
つい力一杯手を握っちゃって...

「の、のゆちゃん?すっごく痛いんじゃけんど...」
「ご、ごめんね。」

なんて言いながらアキヒトに手をひかれて歩いて行く
一体どこへいくのかな?

「さぁ着いた。のゆちゃん、目を開けてええよ」

アキヒトに言われて目を開けると

「わぁ...素敵」

私達は川のほとりの土手の上に立っていて
そこから見える夕焼けの赤と空の青が混じりあって
言葉に出来ないくらい綺麗で...

「どう?綺麗じゃろ?」
「うん...」
「こないだのPVの撮影の時にここの夕陽が綺麗での〜
のゆちゃんと一緒に見てみたい、と思ってたんよ」
「うん...」
「どうしたん?気にいらんの?」

不安そうな気持ちが握った手から伝わって来る

「ううん..そうじゃなくて...アキヒトと一緒に見られて嬉しいな、って思ってたの」
「へへ。わしも」
「こんな素敵な場所に連れて来てくれて...ありがとう」

そしてアキヒトの手をそっと握り返した


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