Closer


今日はライブの最終日
今頃新ちゃんは打ち上げに出かけた頃かな?
最終日のライブって盛り上がるよね
新ちゃんもいつもよりテンションが高かったし
すっごくいいプレイしてたよ
今日でしばらくポルノグラフィティのハルイチに会えないと思ったらちょっと泣いちゃった
どれだけ感動したか伝えたいけど...無理だよね

brrr...

車のエンジン音が聞こえて来た
あの音は...新ちゃんの車?
...まさかね
まだ打ち上げでみんなと盛り上がっているはず...だ、け、ど


「よぉ、涼子」
「へ?!新ちゃん?どうしたの?!」
「ん、涼子と今からドライブにでも行こうかのぅ、と思っての」
「え?え?でも最終日なのに〜打ち上げはどうしたの?!」
「まあ、いいからいいから。それより早よ用意してっ」
「わ、わかったわよっ!何よっもうっ!」

こっちの都合も考えないで...
とぶつぶつ言いながら身支度をしている間も新ちゃんは
「はよはよ〜」と急かして来る
腹立たしく思いながらも...ちょっとうれしかったりして

行先もわからない深夜のドライブ
ホントは内心ワクワクしているんだけど
ホントはライブの感動を伝えたいんだけど
新ちゃんの強引さに腹がたったものだから
わざと不機嫌なふりをして黙り込んでいた

しばらくすると新ちゃんも様子がおかしい事に気がついたみたい
最初は機嫌良くしゃべっていたのが
だんだんと言葉も途絶えがちになり
そして...

「のう、涼子?」
「...」
「わし...なんかした?」
「...」
「何怒っとんの?」
「...」
「黙っとったらわからんじゃろ?」
「...」
「あ〜もう知らん!」

黙り込んだ車内にエンジン音だけが響き渡る
どうしよう...本気で怒っちゃったかな?
途中から意地になっちゃったんだけど...どうしよう
でもでも!
いつも新ちゃんに振り回されっぱなしなんだもん
雑誌やラジオでの新ちゃんのコメントでいつも傷付いているのは私なんだもん
だから...たまには私が新ちゃんを振り回したって...ね

「のう?涼子」

いつもの自身たっぷりな新ちゃんとは思えないような心細げな声

「わし…いつも涼子をほったらかしにして自分の好きな事ばっかししちゃうじゃろ?
じゃから今日は、ライブの終わった今日だけは
涼子と一緒にいたいと思って連れ出したんじゃけど…迷惑じゃった?」
「新ちゃん...車止めてくれる?」
「あ..わかった…ここでええ?」
「うん..ねぇ、新ちゃん」

振り向いた新ちゃんをぎゅっと抱きしめて唇を重ねる
そして...

「え、と、今日は無理矢理連れ出してごめん」
「私こそ意地になっちゃってごめんね。ほんとはすごくうれしかったの」
「ホントに?」
「うん」
「ホントじゃな?」
「うん」
「じゃあ...朝まで2人でドライブするぞっ!」
「うん!」
「涼子、どこに行きたい?」
「新ちゃんの望む所ならどこへでも」


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