Happy surprise

 

「それじゃあ、ゆかさんお願いします」
「はい、わかりました」
「済まないね。こんな遅い時間に入って貰って。
今日だけはどうしても他の子が都合がつかなくてね」
「あ、私は大丈夫ですから」

本当は深夜にバイトに入るのは初めてでちょっと不安だけど
今はね。。。ポルノのライブの直前だから
ちょっとでもバイトの回数を増やさなきゃ
あ〜☆それにしても。。。もうすぐライブかぁ
初日のチケットは取れなかったけど他の日は全部ゲット出来たんだから
良しとしなきゃね☆

...ブーン...

あ、お客さんだわ
...あれ?なんだか見たことがあるような???
ってえええっっ!

「すいません。これ」

あああああ
アキヒトさんっ?!
ど、どうしてこんな所に?!
っていけないっ!応対ししししなくっちゃ...
あ〜〜〜〜店長さんがいなかったら話し掛けるのにぃ

「は、はいっ」

半分夢の中にいるような感じでアキヒトさんの応対をして
しばらくぼ〜っとしていると...

「あっ!ゆかさん!お釣が!」
「....あっ!!!」

大変!ぼ〜っとしててお釣渡すの忘れてた!

「お、お釣渡して来ますっ!」

慌ててお釣を握りしめて店を飛び出したけど
アキヒトさん...まだいるかな?
どうしよう...すごいドジ...泣きそう...
...っと!居た!
追い掛けなきゃ!

 

あのコンビニにあんな可愛い子いたかのぅ?
いや〜ついつい、じ〜っと見てしもうた
なんか真っ赤になっててかわいかったのぅ

 

...待って!
声を掛けたらいいのはわかっているのに
声が出ない...
早く声をかけなきゃ...追いつけないよ...
さあ、勇気を出して...

「ま...待って下さいっ...アキヒトさんっ」

 

...ん?誰じゃろ?
あ、あれ?さっきのコンビニの? どうしたんかの?

「あ、あのっ!お釣渡すの忘れてて...済みません!」
「え?あ?ああっ!わしも貰うの忘れとった...」
「あの、お釣どうぞ..」
「あ、ありがとう...ってここまで走って追い掛けてきたんか?!
悪い事したのぅ。なんかお礼...お...れ...い」
「いえっ!いいんです!アキヒトさんとお話出来ただけで!私...ポルノの曲が大好きで」
「おっ!それじゃあ丁度いいわ!これ受け取ってくれるかの?」

そういってアキヒトさんが差し出したのは

「えっ!ライブのチケットじゃないですか!」
「そう、わしからのささやかなお礼」
「そ、そんな...」
「受け取ってくれるよな?」
「え?え...は、はいっ」
「良かった〜『そんなのいりませんっ』って言われたらどうしようかと思った」
「え〜っ!そんな事ぜっっったい言いませんよ〜」
「へへ、じゃあ、当日わしも楽しみにしてるから。
...そうそう君の名前なんて言うの?」
「私ですか?ゆかです」
「じゃあ、ゆかちゃん。絶対来てくれよ」
「はいっ!何があってもいきますっ」

 

そしてライブ当日
会場に着いてしばらくポル友さん達とお話してから座席の確認に向かう
座席の上にはアンケート用紙とちらしやパンフレットが束になって置いてある
ライブが始まるまでの間にちょっとはアンケート書き始めようかな?と
紙の束を手に持つと、束の間から封筒がポロっと落ちた

「なんだろ?これ」

と封筒の表を見ると『ゆかちゃんへ』の文字
慌てて中を見ると...

今日のライブが終わったら一緒に飲みに行かん?
もし行けそうだったら下に書いてあるアドレスにメール下さい
飲みながらライブの感想も聞かせてくれるかの?
いい返事まっとるで
昭仁

 

「う、うそっ...ホントに?」
半信半疑ながらもメールに返事しているゆかさん
これが2人の恋の始まりとは、本人達も知る由はなく...

 

main index



アクセス解析 SEO/SEO対策