雨の日にはあなたとカフェオレを


「あああ〜〜〜最悪じゃ〜〜〜〜」

アキヒトはそう言って頭を抱えてる
そう、彼は自他ともに認める雨男
雨どころか冬は吹雪、夏は台風も呼んで来たりして
今回も例のごとく、と言うか...雨が...
いつもならアキヒトも「ま〜た雨じゃのぅ」と笑い飛ばす所なんだろうけど
今回は...

「せっっっかくのゆちゃんを島中案内しようと思っとったのにぃ〜」

今回初めてアキヒトと2人で因島に来た私
来る前から「わしのお気に入りの場所を全部案内するけ〜」と張り切っていたから
初日から雨降りでかなりがっかりしたみたい
私自身は「もしかして...」って思っていたからそれ程がっかりはしてないんだけど
アキヒトは張り切っていただけに...ね

「すまん!のゆちゃん!わしが雨男のせいじゃ...これじゃあ、どこにも行けんのぅ」

いつもの事だから、って言うのも変だし、どうしようかな...
あっ、そうだ!

「ねぇ、アキヒト。あの店でコーヒーでも飲まない?」
「へっ?!」
「ほら、雨宿りしている間に雨がやむかもしれないし、それに...」
「それに?」
「コーヒーでも飲みながらアンニュイな気分に浸るのも悪くないでしょ?」
「う..ん。そうじゃの〜」
「じゃあ決まり!いこいこっ!」

アキヒトを引っ張って近くにあったカフェ?に駆け込み
窓辺の海の見える席に陣取って
それぞれの前に注文した品が運ばれて来てやっと一息
アキヒトの前にはブレンド
私の前にはカフェオレ

「そういえば」
「ん?」
「アキヒトと最初に出会った時も同じのを頼んでたっけ」
「そうじゃったかのぅ?」
「そうだったよぅ」
「そう言われればそうじゃったような気もする」
「確かアキヒトが車を買って初めて1人でドライブしていた時で〜
対向車を避けるのに夢中になって歩道にいる私に気付かずに思いっきり水たまりの水をはねかけて」
「ぐっ...そ、それは...」
「 泥水じゃなかったのが不幸中の幸いだったけど〜びしょ濡れになっちゃって」
「あれは...悪かったって」
「『服が乾くまであのカフェでお茶でも!わしがおごるから!』って」
「そうじゃったかの〜」
「そうじゃった」
「今思えば...わし、ナンパしちょるみたいね」
「ふふ..そうね。だからまさか付き合う事になるなんて思わなかった」
「え〜っ!わし、運命の出合いじゃって思ったのに〜」
「そ、そんな事言われると照れちゃうじゃないっ...あっ」
「どうしたん..っておっ!雨があがったようじゃの」
「ホントだ..キレイな海...」
「それじゃ、まずは海を見に行くかの〜
折古の浜に行くか?それとも土生港に行くか?」

店を出て楽しげに話しながら歩く2人の目の前には
優しく輝く瀬戸内の海が広がって...



...瀬戸内の海は今日もきらきらと光ってる...








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