Lie and truth

 

 

「あのさぁ...ひろみちゃん」
「なんですか?新藤さん」

私がポルノチームのスタッフとして働き始めてもう1年
その間にメンバー3人とも親しくなって軽口を叩く間柄になった

「大事な話があるんじゃけど」
「はい?何ですか〜」
「実は...結婚して欲しいんじゃけど」
「...はぁっ?!じ、冗談っ!?」
「わしは本気よ?」
「え?あ..う...だ、だって付き合ってもいないのに急にプロポーズされてもっ!」
「1年一緒に働いてきてひろみちゃんの事は見て来たつもりよ?
ほれ、見合いだと思えばどうって事なかろ?」
「どうってことなかろ?って〜そんな無茶な〜」
「ま、答えは急がんし。ゆっくり考えて」

と言うだけ言って新藤さんは行ってしまった
確かに1年仕事は一緒にして来たけど...
そんな事言われても困るよ...ねぇ?
だって、私には...

「よぉ、ひろみ」
「あっ、白玉さんおはようございます〜」
「どぉしたん?なんか考えこんどったみたいじゃけど」
「え?あぁ、ちょっと...」
「実はさぁ...大事な話があるんじゃけど」
「え...ま、まさか”結婚して欲しい”な〜んて事言わないですよね〜ハハハ...」
「...なんでわかったん..」
「.....へっ?!」

絶句する私を尻目に白玉さんは


「ほら、1年間ひろみを見て来てさぁ。わしにはこいつしかおらん!って思ったのよ」
「え...あ...う...そ、そんな事急に言われてもっ!」
「まあまあ、返事は急がんから。ゆっくり考えて」
「ちょっ!ちょっと待って下さいよっ!」

何?!なんなの?!
これって悪い夢?
そりゃあ、新藤さんも白玉さんもいい人よ?

でも...でも私には...

 

昭仁が入って来た時
晴一とタマが真剣な顔をして話し合っている所だった

「...どっちがひろみに選ばれても恨みっこなしじゃからな」

...へっ?!
あ、あいつら何言うとんじゃ?!

「...そうじゃの。恨みっこなしじゃ」
「ちょっ、ちょっと!お前ら何の話をしとるんじゃ?!
ひろみ...ちゃんがどうしたん?!」
「ん..ああ、昭仁か。実はのぅ...
わしら、ひろみにプロポーズしちゃったんよ〜」
「はぁっ?!なんじゃそりゃ!!!」
「???なんでお前が慌てるんじゃ?
ま〜さ〜か〜『わしはひろみと付き合っとるんじゃ!』とか言うんじゃなかろうの?」
「うっ...そ、そうじゃったらどうする?」
「どうするもなにもないじゃろ?昭仁がひろみとつきおうとろうがわしの気持ちは変わらんで...おいっ!昭仁?!...あ〜行ってもうた」

 

「...のぅ?新藤」
「ん?」
「あれで...上手くいったんかのぅ?」
「おうよ!バッチシじゃ!」
「しっかし..昭仁にはっぱ掛けるっちゅーてもこれはやり過ぎじゃないかのぅ」
「だ〜いじょうぶ!あれぐらいせんとあいつは思い切れんじゃろう?」
「そうかのぅ...しかしの?新藤」
「なんね?」
「もし..もしよ?ひろみがお前やわしを選んだらどうするつもりなん?」
「....」
「まさかと思うけど...考えてなかったとか」
「そ、そんな訳なかろう?そん時は『エイプリル・フールじゃよ』って言えば...」
「...新藤...そんな無茶な..」
「まあ、そうならんように祈っといてくれ...」

 

私には...

 

「ひろみっ!」
「あ...昭仁。どうしたの?そんなに慌てて」
「そりゃ慌てるわっ!お前晴一とタマからプロポーズされたってほんまかっ!」
「えっ!?..誰から聞いたの?」
「誰からってのはどうでもいいんじゃっ!それより..
わしは許さんぞっ!
ひろみはわしの嫁さんになるんじゃっ!」
「昭仁...ホントに?本気で言ってるの?」
「わしは本気じゃっ」
「それって...プロポーズって考えていいの?」
「そ...そうじゃ...け...ど?」

ここまで来て自分の言った事の重大性に気付く昭仁

あ〜っ、わしプロポーズしとる...
もっとかっこ良くきめたかったのに...ええい!ままよ!

「ひろみ!わしと結婚してくれっ!」
「私で...私でいいなら..」

 

私には昭仁がいるから...

 

main index



アクセス解析 SEO/SEO対策