ボクノ ヤクソクノチ

 

最初は偶然だったんだ
スゴロクと散歩している時
普段行った事のない場所に迷い込んだんだ

そこに彼女はいた

彼女は泣いていた
その震える肩があまりにも儚く見えて
思わず声をかけたんだ

 

彼女の名前は「りょうこ」と言った
突然声をかけられてびっくりしたみたいだけど
じきに打ち解けて話をするようになった

 

辛い事があった時はここに来る事にしているの・・・
彼女ははにかみながら言った
そのはにかんだ笑顔にたまらなく惹かれたんだ

 

彼女は今までにつき合っていた子とは全然違う
なんというか...
一緒にいると気が休まるんだ
かっこつけなくってもいいってのがこんなに心地良いなんて思わなかった
彼女といる間は本当の自分でいられる気がしたんだ
いつまでもこのままでいたい、と思っていたんだ

 

それなのに...

 

最初はささいな事だったんだ
僕はりょうこに甘え過ぎていたのかもしれない
夜に彼女は出て行った
目に涙を浮かべながら...


りょうこが出ていって気付いたんだ
どれだけ僕にとって彼女がかけがえのない存在であったかを
彼女なしでの生活なんてもう考えられない
...でもりょうこは一体どこに?

その時声が聞こえた気がしたんだ

 

...辛い事があった時にはここに来る事にしているの...

 

彼女はきっとあの場所にいる
彼女にとっての安息の地
そして
僕にとっての約束の地

 

僕は駆け出していた
りょうこのいるあの場所へ
2度と彼女を離さない為に

 

彼女はそこにいた
初めて会った時と同じように泣いていた
初めて会った時のように儚げに...

 

「ハルくん、どうして..?」と驚く彼女を
力一杯抱き締めて何度も何度も囁いたんだ

 

りょうこじゃないとダメなんだ
愛してる... って

 

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